アメリカ留学時に出逢い、そのまま夫の故郷ベルギーへ
フランダース地方で学生結婚、主婦業を開始、
子育てに専念しつつ、複数の言語を習得した。
現在、欧州と日本を往来しながら、
ふたたび大学院へ進学、修士号を取得した。
通訳と翻訳、教職へと新たな分野へ進出。
パワフルに生き抜いてきた彼女に結婚感を聞いた。
婚約される際、日本とは異なる手続や慣習などで驚いたり、戸惑ったりした事柄はありますか?
婚約という制度はないとのことで驚きました。
ただ、ステディな関係と両家に認識されると、両家の冠婚葬祭、バカンス、旅行、全てにカップルとして参加します。
例えば、甥が大学生なのですが、既にステディな関係の「彼女」が同じ大学にいて、彼、彼女とも、両家の行事、冠婚葬祭には一緒に出ています。また、バカンスも夏は彼女の一家に彼が同行、冬は逆に彼女が来ていました。
私達もそうでしたが、義母(甥の祖母)や親の兄弟(おじおば)などの所にも頻繁に遊びに行っているようです。また両家の従兄弟達やそのパートナー達との交流も盛んです。
特徴としては、なんでも二人で参加する、ということでしょうか。昨年はクリスマスを彼の家で過ごし、新年のパーティーは彼女の家で過ごしたそうです。
また、次回夏のバカンスは両家で長期に渡って出かけるようです。形式的なことは何もありませんが、こうやって両家が馴染んでいく過程が婚約期間であるように思います。
結婚される際は、いかがですか?
まず、姓についてですが、ベルギーでは「人の名を名乗る」という概念がありませんので正式には完全別姓です。
社会的な用法で申し上げますと、夫婦は両方とも ハイフンを使った名前を使います。
夫婦でプライベートの名刺を作る場合、例えば、私たちは、Dirk & Masako Van Eester - Nishikawaです。
また、私は夫の妻であるという感覚で、場合によってはMrs. Van Eester(ヴァンエーステル夫人)と呼ばれることもあります。
日常的には夫の姓もハイフンで使う女性も多いですね。その場合には、Masako Van Eester-Nishikawa となります。
これが国際的に活動する女性であれば、英語圏式に自分の姓が先行します。つまり、Masako Nishikawa-Van Eester となります。
世界的に有名なテニス選手などもこの表記法を使っています。
ただ、法律上、正式な姓はあくまで自分のものを使い、これは一生変わることがありません。
新婚旅行というのはないように思います。毎年夏のバカンスに出かけるので…。
ただ、銀婚式、金婚式には結婚式の再現のような大きなパーティーを開き、その後記念の旅行に出かける場合もあります。
うちでも銀婚式パーティーと小旅行をしました。
ベルギーで国際結婚される場合、特別な手続や制度は、どのようなことでしょうか?
婚姻届を出したのは夫の国のベルギーでした。
向こうの市役所で必要な書類を提出し、婚姻が認められた際、夫婦ごとに受け取る「ウエディング・ブック」を発行されました。ここに夫婦、それから将来生まれてくる子の全ての情報を記載するようになっています。
また、結婚式は実際に籍が入っていないとできないそうで、まず市役所で書類手続き、署名を行い、婚姻が認められてから教会などで挙式します。逆はできません。
披露宴後、婚姻手続きをする日本とは逆ですね。
通常は、市役所で手続して、そのまま教会へ行き、それから披露宴会場へ赴きます。午後からレセプション、夜は親族およびより親しい関係者と正式なディナーという流れですね。
ベルギーでご結婚されて、戸籍をどうするか、といった点で面倒な手続きはありましたか?
特に面倒とは感じませんでした。
どこの国でもこういった事は煩雑でクレームも出る事と思います。
国際結婚で、難しい点は、どのようなことでしょう。
社会の制度面ですね。
逆に、国際結婚でこそ得られる幸福感や楽しさというものは、どのようなことでしょうか?
国際結婚だから、と意識したことは何もありません。強いて言えば、義理の家族、親族(一族郎党)とも本当に血が繋がっているように馴染んで、この29年間やってきました。
勿論そのためには、夫婦でお互いがお互いの言語を習得し、頻繁に欧州・日本間を行ったり来たりする必要がありますが、そういった手間も全て、両家の皆が仲良くやっていく喜びに変わります。
ベルギーの「家族」について、どのような印象がありますか?
社会における単位だと思います。
国際結婚がスタンダードになるためには、どのような制度をどのように変えるべきだと思いますか?
国際結婚だから、というこだわりはありません。
私たちのケースが全てのケースに当てはまるはずもないし、当てはまらなくても良いと思います。強いて言えば、なるべくいろんな形を認めるような制度であってほしいと思います。
あなたにとって、家族とは?
何より大切な財産です。